夕食時、いつものようにセブルスとワインを傾けながら

1日を締めくくるに相応しい会話をしていると、

否応なしにハリー、ロン、ハーマイオニーの好奇の視線が突き刺さった。

しかもセブルスは彼らに敵意を隠すでもなく

容赦なしにハリーたちを睨み返す。


「…多分感付いたのね、私達の関係」


それが事もあろうに、セブルスが精神的にも一番知られたく無い相手となれば、

彼の嫌悪の溜息はより大きな物となって漏れた。

別段隠している訳でもないが、公にしている訳でも無い。

…というかもしセブルスが公にする事を良しとしてしまったら、

それはそれで酷くあからさまで凄そうな気がしてならないのだが。


「…―あの子たちは、私達が同級生というのを知っているし、

 私に恋人がいるというのも知っているもの。仕方ないわ?

 きっと真相を確かめに私の所を訪ねて来ると思うから…

 とりあえず―私に任せて?」









案の定時計の針が8時を回った頃に、3人が私の元も訪ねてきた。

快く部屋に招き入れるとソファに座るよう示唆し、

杖でやかんを叩いて紅茶を淹れ、淡い色をした砂糖菓子を勧めた。


「私に何か聞きたい事があるのでしょう?リーマスの事かしら?」

「あの…ルーピン先生のご病気は大丈夫なんですか?」


ハーマイオニーが少し身を乗り出して心配そうに聞いた。


「ええ、大丈夫。スネイプ先生が作って下さった『回復薬』を飲まれて、

 今は静かに休養なさっているわ」


落ち着き払って紅茶を啜る私を見つめながら、

今度はハリーがはっきりした口調で質問を口にした。


先生の恋人って、スネイプなんですか?」

「…―ハリー。スネイプ"先生"でしょ?」


ハリーがしまったという顔をして慌てて訂正するのを聞いてから、

微笑んで頷いた。


「スネイプ先生は私の一番大切な人よ」


ハリーとハーマイオニーは少し驚きつつもやはりという顔をしたが、

ロンだけはかなりのショックを受けたようで項垂れてしまった。


「…先生は僕の父をご存知ですか?」


「ジェームズ?もちろん!お母様のリリーもね。

 貴方達と同じ年の頃から、とても仲良くさせて頂いたわ。

 2人の新居にも1度だけお邪魔したわね」


私が懐かしそうに目を細めると、ハリーは誇らしげに表情を和らげた。


「…―さて貴方達は少し昔の話を聞きたい気分なのかしら?」


悪戯っぽく笑って少し突付いてやると、

3人は決まりが悪そうに目で合図を交し合い、

済まなさそうにはにかんでこくりと頷いた。


「Okey.じゃあ…―そうね―、」


少し睫毛を伏せた。


「…ジェームズとセブルスはお互いを心底憎しんでいたわ。

 でも私は、その両極端な立場の人間の

 間に居ることを楽しんでいたの。

 ジェームズたちにもセブルスにも、変わった奴だって散々言われたわ」

「つまり…ハリーのお父様とも、スネイプ先生とも

 仲が良かったという事ですか?」

「ハーマイオニー・グレンジャー。本当に賢い娘ね。

 簡潔に言えば、そう。でもこの通り…私は少し変わっているの」

「そう…かなあ?そりゃまあ…確かにスネイプ―先生、

 の恋人って所は変わっているけど…」


ロンはもじもじとカップを玩んだ。


「それじゃあ…ひとつクイズを出しましょうか。

 私が何寮出身か当ててみて?」


ハリーとロンはグリフィンドールと答えた。

ハーマイオニーは少し悩んで見せたがレイブンクローと答えた。


「私はスリザリンよ」


にっこり笑って肩を竦めて見せると、

3人の顎は外れんばかりにあんぐりとぶら下っていた。


「嘘だ!」


予想通りの反応に3人の金切り声は重なった。


「そう、つまり―…ジェームズたちは、

 スリザリンらしくない振る舞いをする私を

 どうやらとても気に入ってくれたみたいね。

 私とセブルスが仲が良いことを、最初は随分危惧したみたいだけど―

 それこそ弱みを握るためのスパイとかね?

 セブルスなら―し兼ねないでしょう?

 でも私が彼らの憎しみ合いに何の興味も干渉も示さない事が解ると、

 ジェームズもセブルスも、それ以上は私に何も求めなかったわね。

 有り難いことに、それが暗黙のルールみたいなものだったの」

「先生はスネイプ"先生"を止めなかったんですか?」

「彼は私が助けに入るのを頑なに嫌がったのよ。

 ―女性に助けられるのが嫌だったのかしら?」


ふふふと笑いが漏れた。


「まあ……そうね―……、過去に2度だけ…。

 ジェームズたちの悪戯がちょっと見ていられない程過ぎた時、

 私がカンカンに怒って…んーちょっとした…お呪いを掛けた事はあるわね」

「お呪い?」

「ええ。リリーはこれを"究極の仕返し"と呼んでいたわね。

 どうしても知りたいならルーピン先生に聞くと良いわ。

 なんならスネイプ先生でもその質問なら喜んで答えてくれるかも」


笑えない冗談にハリーの顔が強張った。


「とにかく―私とスネイプ先生にはとても接点が多かったのよ。

 興味を持つ事柄とかね?

 2人とも魔法薬学と闇の魔術に詳しいのは―そのせいね。

 いつお互いに意識しあったとか、いつ付き合いだしたとか…

 自然すぎてあまりはっきり覚えていないの。

 そして少なくとも私は今日まで変わらず―、

 …―セブルスのためならどんな危険な目に遭おうが構わないと

 思っているわ」

























#12
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好奇心旺盛なお年頃。

200806023 狐々音