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幸か不幸か――が早急に飲ませた撥毒丸が功を奏し、政宗は一命を取り留めた。
外はすっかり暗くなっている。 は随分長い事、まだ少し青白い政宗の寝顔を見ていたが、 気付いたように立ち上がると、するすると襖を開け、 心配そうに控えていた若い衆たちに労いの声を掛けた。
疲れたでしょう…あとは私が側にいます。 本来なら明日が出陣の予定――明日に備え、もうお休みなさい」
気持ちを切り替えて部屋へと帰って行った。 最後に残った左馬之助と成実も互いに顔を見合わせると、小さく頷き戻っていった。 政宗の部屋にはと――厳しい顔をした小十郎のみが残った。 は静かに襖を閉めると、小十郎に背を向けたまま肩を震わせた――泣いていた。
「…様……、」 「ま――政宗という人は…おそらく母を、憎めども、…殺せません、」 「様、」 「母はっ、何故この、ような連鎖を、望むの、でしょうか」 「――」
ははっとして振り返った。 いつだって曇りの無い目で道を正してくれた小十郎の姿がそこにはあった。
小十郎とて心中は歯痒く苦い思いを抱いているに違いないのだ。 さりとて長引かせ断ち切れなくなった後悔が、いかに無意味かを善く知っているのであろう。 小十郎の苦心はもう此処には無く、既に明日より先の政宗の御身にあった。 は――目が覚める思いがした。 くっと唇を噛締めると、断ち切るように頭を振った。
献身的に兄の側に寄り添っていたを、当たり前の様に見つけると、 擦れた声で呻くように呟いた。
「!あら。政兄様こそ、」 「……――Shit…また心配かけちまったな」 「……それだけ御自覚があるのなら、今回は見逃しますわ」
「はっ!」
「…All right.」
しかし次の瞬間にはもう――陰惨な何かが龍の眼に宿っていた。
「―っ!」 「政宗様―…っ、」
小十郎とは二日前に駆け戻った道を再び戻っていく。 人に見られる事も憚らず、二人は互いの手を握り締めていた。 ――家督争いに終止符が打たれるのだ。
なんと愚かで呪われた――。
小次郎はもう悟っていたかのように、迷い無く素直に兄からの呼び出しに従った。 三度館への道を歩きながら、小十郎と妹の並ぶ姿を見て、小次郎は笑った。
「っ…竺丸兄様!」 「隠さずとも良いさ。こちらの館でも微かに聞き及んでいるよ。 あの頑固な兄上が了承するのも私は納得だし――亡き父上もお前たちを誇りに思うだろう」
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内容以前に政宗による「馬couple」発言に刮目せよ、ですね。わかります。
×馬カップル ○バカップル
That's right\^ρ^/
20090506 呱々音